アルバムのリードトラックになるに違いないと、早い段階から考えていた
———-これはノリの良い曲だね
だろ? この曲だけは、アルバムの中で特別な一曲なんだよ。
唯一、歌詞を外注した曲だからね(笑)。
アルバムの解説でも言ったけど、他の9曲は歌詞が先、曲が後なんだ。
でも「のっぺらぼう」だけは曲が先だ。
そういった意味で他の曲たちと違って異彩を放っているよね。
すごくアッパーだし、メロディも覚えやすい。
きっとアルバムのリードトラックになるに違いないと、早い段階から考えていたよ。
———-確かにサビのメロディが際立っているね。
自分でもいい出来だと思うよ(笑)。
馬鹿げた時間に頭の中だけでメロディを組み立ててみた
本業の方で、ただ黙って一日中座っているだけの仕事があるんだ。
こんな馬鹿げたことはないんだけど、今の僕はその馬鹿げたことをしないと食べていけないんだ。
———-早く曲が売れるといいね。
心からそう願うよ。
で、その馬鹿げた時間に頭の中だけでメロディを組み立ててみた。
くりかえし頭の中で流しているうちに、これは使えるなという実感がわき始めた。
僕はその日、一日中頭の中でこのメロディをループしたから、完全に覚えてしまったんだぜ。
———-頭の中で完結するとは驚きだね!
そのリズムがマッチするんじゃないかと思って試してみた
さて、できたメロディをどう構成するか、結構悩んだ。
初めはストレートな疾走系のメタルで作り始めたんだけど…
———-上手くいかなかった?
そう、どんどん魅力が減っていった。
結局僕はそのアイデアを捨て、一から取り組み直さなければならなかった。
———-どのように方向転換したんだい?
「女王蜂」ってバンドを知ってる?
彼らがよく四つ打ちのダンサブルなリズムを使うんだ。
そのリズムがマッチするんじゃないかと思って試してみたら、ピッタリとハマったんだ。
そこからはトントン拍子に進んだかな。
———-「のっぺらぼう」はずいぶん短い曲に思えるけど?
そう、お気付きの通り「のっぺらぼう」にはギターソロがない。
ノリが良くて覚えやすい曲だから、いたずらに長い曲にしたくはなかった。
枝葉を削っていくうちに、間奏もソロではなくリフで押すアレンジに決まった。
短いけど、どんどん上がっていく緊張感に満ちていると思うよ。
無意味性の創造とでも言えばいいのかな
———-歌詞についてはどう?
歌詞はVERTICALが書いてくれた。
いつもアルバムに数曲分の歌詞をお願いしているんだ。
今回は1曲だけだね。
彼の詞は独特で、言葉の流れに意味を持たせないんだ。
無意味性の創造とでも言えばいいのかな。
その姿勢が最高にロックじゃないか(笑)。
有頂天の「大失敗’85」(GAN収録)という曲の歌詞にも出てくるだろ?
「意味を破壊することより無意味を作ろう」って。
あれだよきっと、VERTICALがやってることは。
まあ僕は彼ではないからね、「ぜんぜん違うよ」って言われるかもしれないけどね(笑)。