速いことは良いことであるという偏った価値観
ヘヴィメタルやパンクにおいて、その演奏の速さというものがしばしば重要視される。
速いことは良いことであるという偏った価値観を持った人も多く存在し、私もどちらかというとそうだ。
速い曲をプレイするバンドのドラマーはホントにすごい。
人間業とは思えないマシンガンのようなドラムをたたく人もいる。
しかし、「速い曲を叩ける=正確なプレイが出来る」というわけではないようだ。
凄まじい速さで叩けるドラマーが、いざミドルパートになったとたん、あら? となることが少なくない。
テンポが遅くなると逆に不正確さが際立ってしまうのだ。
適度にスキマのあるビートを上手く叩いてこそ
そういうドラマーは、要はスキマを「打」で埋め尽くすのが得意なだけで、かっこ良いビートが刻めなかったりする。
外国の絵画は余白がないように絵で埋め尽くすらしいが、日本画は余白にもワビサビを見出す。
それと同じで、適度にスキマのあるビートを上手く叩いてこそ、名ドラマーだと思う。
もちろん、速いパートもスローなパートも上手く叩くドラマーは存在するし、こうありたいものだなと思う。
スロー、ミドルパートこそバンドの力量がわかる
特に、超高速なブラストビートを必要とするデスメタルやブラックメタルは、スローパートも上手く叩けるドラマーがいると、印象がぜんぜん違う。
スロー、ミドルパートこそバンドの力量がわかる。
年をとったせいか、こんな考え方をするようになった今日この頃。
2010.12.23 Freakz
(追記)
この記事からさらに年を取った私は、メタル以外も聴くようになり、もっと幅の広い評価ができるようになった。
最近大事だと思うのは強弱だ。
メタルのスネアは常に強打でいいという人もいるけれど、私は強弱のついたドラムのほうが好きだ。
音圧を増すためにコンプレッサーをかけるのは分かるのだが、それで演奏のダイナミズムが失われてしまっては元も子もない。
そんな考え方をするようになった今日この頃。
2022.12.1 Freakz
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