「下手」と一言で切り捨てることはできない
Kai Hansenのヴォーカルは下手だ、とよく言われる。
しかし、「下手」と一言で切り捨てることはできない。
初期「Helloween」はKai Hansenがヴォーカルをとっていた。
Michael Kiskeが加入する以前だ。
その頃の「Helloween」は、どちらかと言えばスラッシュメタルに近い。
親しみやすいメロディが導入されているから、ジャーマンメタル(メロディックスピードメタル)に分類されるけれど。
どちらかといえばMichael Kiske加入後の「Helloween」がよりジャーマンメタルに近いだろう。
初期Helloweenの音楽の中では重要な要素だった
スラッシュメタル寄りの激しい音楽性には、Kai Hansenのヴォーカルが良く合っていた。
スラッシュメタルのヴォーカルでは、「どれだけ音程を正確に取れるか」よりも「どれだけ野蛮に、暴力的に咆哮するか」の方が大事だからだ。
そういう意味では、あの血管が切れそうな高音シャウトは、初期「Helloween」の音楽の中では重要な要素だった気がする。
実際、初期「Helloween」のライブ映像を見ると、メロディを大切に歌うパフォーマンスではなかった。
勢いやテンション重視だ。
ヴォーカルスタイルと音楽性の相性の問題
Michael Kiske加入後、それ以前の楽曲をKiskeが歌い直して再録されたものがいくつかある。
それを聴いて違和感を感じるというか、シックリこなかった人は多いのではないだろうか?
逆に「守護神伝」のヴォーカルをKai Hansenがとっていたら、あれほどの傑作にはなっていなかっただろう。
つまり、ヴォーカルスタイルと音楽性の相性の問題なのだ。
初期「Helloween」のKai Hansenのヴォーカルが下手だ、という指摘は、私は間違いであると信じる。
2009.12.2 Freakz
(追記)
うん、我ながら良い分析だなぁ。
現在Kai Hansenは、年齢のせいもあるのか高音が非常に苦しそうである。
いつの日かまたあの超音波のようなシャウトが復活してほしいな。
あと、ジャーマンメタルという言葉は使われなくなってしまったね。
ただ単にパワーメタルとか呼ばれたりもする。
でも私のような世代には、ジャーマンメタルという響きはとってもシックリくるのだ。
2022.3.16 Freakz
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