Ken Owen ~Carcassの隠れた功労者~

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普通の音楽では考えられない事態が起こっているのだ

私が好きな「Carcass」のドラマーである。

再結成時は脳内出血の後遺症で、参加することはできなかったようだ。

しかしライブ会場には足を運んでいて、パフォーマンスも披露したらしい。

彼のドラムは、かなり不正確な部類に入る。

だが、それが絶妙に良い味を醸し出すのだ。

初期「Carcass」の音楽性はグラインドコアだ。

演奏の正確さは二の次三の次で、どれだけ暴力性を叩きつけるかが問われる(こともある)音楽だ。

そんな中、彼のドラムは光っていた。

ドラムが入った途端聴き手はリズムが分からなくなるという、普通の音楽では考えられない事態が起こっているのだ。

初期「Napalm Death」も同じようなところはあったが、Ken Owenのドラムはそれ以上のインパクトがあった。

今現在でもグラインドコアのバンドに影響を与え続け、1st,2ndアルバムはゴアグラインドの聖典と化している。

彼のドラミングがそれに一役買っているのは間違いない。

他のメロデスとの決定的な差異

「Carcass」の音楽性の変化に伴い、ドラムも正確なものが要求されるようになった。

デスメタルへの接近を見せたからだ。

故に、アルバム「Heartwork」なんかは、ドラムが下手だという批判を目にすることがある。

確かに不正確なところがあるのだが、そのことが「Heartwork」に僅かなグラインドコア臭を残している。

そしてその事実が、他のメロデスとの決定的な差異を生み出し、現在も語り継がれる名盤となっているのではあるまいか。

勿論、ドラムが不正確だから名盤だという単純な話ではないのだが、魅力の一つになっているような気がしてならない。

私が彼のドラムが好きで、批判する気になれないのは、そんな理由があるからだ。

2010.7.29 Freakz

(追記)

現在もやはりドラムは叩けないのだろう。

しかし音楽活動をやめてはいないようだ。

2015年にソロアルバム「Symbiotic Possibilities」をリリースしている。

あの破壊的なドラミングがもう聴けないことは悲しいが、彼の表現衝動がまだ尽きていないことをまずは喜ぶべきであろう。

2022.6.14 Freakz

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