Chrisのドラムが「Sodom」にとって不必要なものであった、という考えは少々早計すぎる
私が好きなドラマーだ。
元「Sodom」のドラマーで、アルバム「Tapping The Vein」発表後クビになった。
その後任には元「Living Death」のAtomic Steifが加入している。
確かにこのドラマーの交代で、「Sodom」の楽曲はリズムがタイトになったと思うし、迫力や暴虐性も増した。
交代後に発表されたアルバム「Get What You Deserve」もアグレッシブで大好きなアルバムだ。
しかし、だからといってChrisのドラムが「Sodom」にとって不必要なものであった、という考えは少々早計すぎる。
何度も書いている気がするが、ドラムというものは正確=上手いではない。
打ち込みのドラムより人間が叩くドラムが優れているのは、微妙なタイミングのズレや強弱の違いによって、魂みたいなものが注入されるからだ。
Chrisのドラムからは、スラッシュ魂がよく感じられる。
マジ一生懸命叩いてます感が、聴き手のテンションを引き上げてくれる
とにかく疾走するのが以前のスラッシュメタルの美徳であった。
Chrisは肉体を限界まで駆使して、速く叩く。
時には肉体がテンポについていけずに、モタることもある。
が、ビートが崩壊するほどのズレではないので、逆に体感速度を高める結果となっているのだ。
(超初期の「In The Sign Of Evil」はさすがにビートが崩壊してる気がするが)
また、本当に身体の疲れのギリギリのラインで叩いてる感じがよく出ているのだ。
例えば、バスドラを踏む足が疲れてきたときは、唐突に長いタム回しやスネア連打が入ってくる。(その間、足は休んでいる)
ハイハットの腕の刻みが疲れによって追いつかなくなってきたときは、ピシッピシッとバスドラに合わせて叩くように変える。(腕が少し休める)
これらのマジ一生懸命叩いてます感が、聴き手のテンションを引き上げてくれるのだ。
「Slayer」のDave Lombardoのように、テンポも速く手数も多いのに、若干余裕すら感じさせるドラムも、超人的でカッコいい。
しかし、Chrisにはそれとはちょっと違った魅力があるのである。
…調べたら、もう亡くなってしまったと書いてあったが、本当だろうか。
本当だとしたら、実に残念なことだ。
2010.7.28 Freakz
(追記)
Chris Witchhunterは2008年9月8日に亡くなっている。
死因は多臓器不全。
バンドを解雇されたのもアルコールが理由らしく、1980年代にはすでに依存していたようだ。
演奏前にビールを飲み過ぎることも何度かあったと聞く。
「Sodom」名義で2007年に発売された企画アルバム「The Final Sign of Evil」が彼の遺作となった。
彼のドタドタしたドラムは健在だが、レコーディング中にすでに不調は始まっていたようだ。
酒は人生の伴侶であると同時に悪魔でもある。
Alexi LaihoもJeff Hannemanもアルコールの問題を抱えていたわけだし、直接的あるいは間接的な死因となるミュージシャンは多い。
お酒はとっても難しい!
2022.5.13 Freakz
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