「バクチク節」が具体的に何なのか、捉えるのは少し難しい
「Buck-Tick」の音楽性は、アルバムごとに大きく変化する。
しかしその根底には、「バクチク節」のようなものが常に流れている。
だから、前作から音楽的に変わってしまったとしても、ファンが離れてしまうことはない。
その「バクチク節」が具体的に何なのか、捉えるのは少し難しい。
恐らく、中毒性のある奇抜なアレンジであるとか、その中で際立つ綺麗な歌メロとか、そういったものの集合体が、きっと「バクチク節」なのだろう。
私が「Buck-Tick」を好きになったときは、アルバム「Cosmos」が最新作だった。
そこから遡るように歴史を辿り、音楽性の変化に驚き、しかしそれでも好きになってしまったのだ。
「Cosmos」の次に出た「Sexy Stream Liner」もかなりハマった。
アバンギャルドの限りを尽くしたかのような斬新なアレンジが、大層気に入った。
「バクチク節」が根底にある限りは、どれだけ音楽性が変わっても、気に入ってしまうのだろうなぁ・・・と思っていた。
「バクチク節」が失われたからなのか、私の感性が鈍くなったのか
しかし、その次の「One Life,One,Death」は、嫌いではないが、以前ほどの魅力を感じなくなった。
さらに次作は先行シングルを買い、アルバムは買うのをやめてしまった。
熱が冷めてしまったのだ。
これが、「バクチク節」が失われたからなのか、私の感性が鈍くなったのかは分からない。
どちらにせよ、昔のようなドキドキ感が味わえないということは、残念なことだ。
2010.2.22 Freakz
(追記)
私は今も「Buck-Tick」の新譜を買ってはいない。
しかし新作をリリースするたびにニュースは目にする。
彼らはどうやらブレてない。
ブレたのは私の方だ。
要は「Buck-Tick」の音楽に自分の衰えた感性がついていけなくなってしまったのだ。
しかし、音楽性を変えながら、メンバーは不動で、継続的に活動を続ける稀有なバンドだ。
ちなみに私は「Taboo」というアルバムが最もお気に入りだ。
2022.5.13 Freakz
(追記)
先日、NHKの「スイッチインタビュー」という番組で、「ヒロシです」のヒロシさんが、インタビュー相手に櫻井敦司さんを指名したおかげで、めったに見られないあっちゃんの普段の姿を見ることができた。
今でも美しさは変わらず。
「納豆は小粒が好き」という貴重な情報も。
やっぱりNHKって良い番組を作るよね。
あ、報道以外ね。
2023.3.1 Freakz
〈追記〉
2023年10月19日、櫻井敦司は亡くなった。
死因は脳幹出血、ライブで3曲歌った後。
あれからまもなく3ヶ月、ようやく少しは彼の死を受け入れられるようになってきた。
ニュースで知り驚き、とても大きな喪失感を感じた。
大切なものは無くして初めて分かると言うが、本当にそのとおりだと思った。
私が「Buck-Tick」の「Taboo」というアルバムに出会ったのは小学生の頃。
兄がCDを買い、カセットテープにダビングしてもらった。
幼少時に出会った音楽は、大きな傷跡を心につけるものだ。
今でも消えずに、Buck-Tickがつけた傷は心にはっきりと残っている。
私は高校生の時から作曲を始めた。
今はメタル調のものが多いが、Buck-Tickのような曲ばかり作っていた時期もあった。
おそらく今もエキスのようなものが作品からにじみ出ているのではないだろうか。
そういった大きな存在のボーカリストが、突然この世を去った。
受け止めるのに時間がかかるのも無理はない。
今頃彼は母に抱かれ眠っているのかもしれない。
iPodでシャッフル再生すれば、頻繁に彼の歌声はかかる。
私の心の中で、彼は「永遠」になってしまった。
ひとまず、さよなら。
またそちらで。
2024.1.11 Freakz
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