デスメタルの歴史は、ある一面では速さとの戦いの歴史
デスメタルとスピードは切っても切れない関係だ。
デスメタルの歴史は、ある一面では速さとの戦いの歴史である。
どれだけドラムを速く叩けるか、弦楽器をどれだけ速く弾けるか。
その物理的な臨界点の模索が、デスメタルの発展の一つの側面だ(もちろん全てではない)。
陸上の100メートル走が、いかに人間が一定の距離を速く走れるか、その模索に感じられることに似ている。
数百年経ったら100メートル走の記録は更新できないものになってしまうのではないだろうか。
「Brain Drill」で行き止まりだ
同じように、デスメタルはすでにこれ以上速く演奏できないという限界が見えてきている。
これからのデスメタルバンドは速さを突き詰めてはいけない。
なぜならその方向性は、「Brain Drill」で行き止まりだからだ。
人間離れしたグラヴィティブラストや速弾きは、ほぼ限界点だといって良い。
とにかく想像を絶する速さで、ぐちゃぐちゃだ。
凄すぎて笑ってしまうという意見が多いのもうなずける。
漫才において、笑いの手数を増やしていく方向性はナイツで終わりだと言われている。
(あれ以上手数を増やせないという意味で、漫才が終わったと言っているわけではない)
それと同じ感覚を「Brain Drill」に受ける。
デスメタルにおいて、速い演奏を突き詰める方向性は「Brain Drill」で終わりだ。
速さに魂を売りました的な態度は、なかなかにクール
ただ、曲自体があんま良くないのが残念。
「演奏がすごい」だけで終わってしまっているのだ。
リフのかっこ良さとか、展開の妙とか、そういったものが備わっていない。
それとも、それらすら余分なものとして削ぎ落としたのだろうか?
だとしたら、もはや音楽というものではない気もするが。
ただし、速さに魂を売りました的な態度は、なかなかにクールだ。
今後も「Brain Drill」の活動から目を離せない。
2013.2.9 Freakz
(追記)
目が離せない、と言いながら最近の活動を全く知らない。
と思って調べてみると、2019年9月に解散してたわ。
この記事を書いてから9年か…。
どうかな? 「Brain Drill」超えは現れたのだろうか?
2022.4.15 Freakz
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