プレイで人間椅子に変化をもたらした
さてさて、ナカジマノブはドラムのプレイスタイルというよりは、もっと人間的な面で人間椅子に変化をもたらしたのだ…と前回書いた。
じゃあ後藤マスヒロは? と問われれば、やはりそのプレイで人間椅子に変化をもたらしたと答えざるをえない。
腕が2本とは思われない手数で、聴くものを圧倒。
人間椅子の音楽がグッとメタルに近づいた気がする。
あとは静寂パート時の効果音担当。
いろんな楽器やそれに準ずるものを、ドラムセットの周りに配置してあり、じつにちょこまかと多くの効果音を出しては、雰囲気を盛り上げていたものだ。
あの姿がもう見られないとなると寂しい物がある。
突然の発表に会場はどよめいた
03/12/14渋谷O-Westでのライヴを最後に、彼は人間椅子を脱退した。
「化人幻戯」と題された(乱歩の長編だ)ライヴでのこと。
特に告知があったわけでも何でもなく、突然の発表に会場はどよめいたそう。
最後に演奏された3曲は順に「天国に結ぶ恋」
「ダイナマイト」
「地獄風景」
と速い曲ばっかりだな!
私はそのライヴ、観に行っていないが、是非その勇姿を目に焼き付けたかったものだ。
それから10年以上経っているのかと思うと感慨深いね。
なぜ人間椅子を辞めたのだろうか?
さて、後藤マスヒロは、なぜ人間椅子を辞めたのだろうか?
正式な脱退理由は発表されてないので、彼のホームページをもとに推測してみよう。
マスヒロの公式ホームページにある06年頃の日記には、ソロ作品を作り続けるマスヒロの姿がある。
「一度はソロアルバムを作ってみたい」とはっきりと明記しているのだ。
ソロ作品を作りたい気持ちが、人間椅子脱退に一役からんでるのかもしれない。
また、次のような発言も。
「何故なら、本来俺が目指している趣向とは全く違った曲だからだ。 何と言って良いのか判らんが、何か今までに無かったようなエキゾチックな音楽をやっていきたいのだが今回出来てしまった曲は、なんとも言いようのない ヘタウマパンクだったからだ」
パンクのような音楽はやめて、もっと違うような曲をやりたいという気持ちが読み取れる。
ハードロック畑から離れ、違った音楽をしたかったのかもしれない。
「ここ最近は正直ライブそのものにも関心がなくなっていた」という発言も。
スタジオミュージシャン、エンジニアといった職業が浮かんでくるが、そういった方面に進みたかったのだろうか?
「俺はどちらかと言えばライブアレルギーみたいなものがあって、リハーサルではそこそこ楽しめても本番では精神的に参る事が昔から多かった」
「俺はバンドでのライブで楽しめた記憶が一つもない」
という後ろ向きの発言も。
人間椅子でのライヴも苦痛に感じていたのなら、とても残念だ。
久々にブルース形のバンドのサポートでライブをした際には
「生まれてはじめてお客さんからのリアクションを感じた」
「俺自身が楽しめた数少ないライブ」
と書いている。
マスヒロはステージとお客さんとの間に距離を感じてしまっていたのだ。
2010年には「最近はバンド系の仕事はやってなくて、もっぱらアレンジャーやプロデューサーの要求を具体化する仕事が多い」と記述。
やはりバンド活動からは遠ざかっているようだ。
マスヒロが頭脳警察のライブを観に行った時には「たまにはバンドも楽しそうだなあ~~~と思った」という記述もあり、完全にバンドを捨てきれないでいるのかもしれないけれど。
勇姿を見せてくれる日を、心待ちにしている
総括すると、脱退理由は次のようになるかな。
・人間椅子と違ったタイプの音楽を、ソロ作品として突き詰めたくなった。
・ライブの客に距離を感じてしまい、ライブが苦痛になった。
まぁ、ただの予想だけどもね。
ただし、完全にバンド活動を捨てたようにも思えないので、また我々が期待するような活躍を見せてくれるかもしれない。
私は彼のドラミングが好きだ。
いつの日かまたマスヒロが勇姿を見せてくれる日を、心待ちにしている。
2014.3.10 Freakz
(追記)
この記事を書いたのは2014年かぁ。
現在は2022年、御存知の通り、マスヒロは現在バンド活動を再開している。
2015年に金属恵比須に加入しているから、この記事の後、そんなに間を置かずに活動を開始しているんだなぁ。
そして今、「Damian Hamada’s Creatures」に「マスヒロ”バトラー”後藤」という「改臟人間」となり参加中。
ソロアルバム等も制作している。
やりたいことをやったらまた戻ってきたくなったのかな?
何にせよ、彼の複雑怪奇なドラミングをまた聴くことができて嬉しい限りである。
余談だけど、私の旧ブログのこの記事、「後藤マスヒロ」で検索すると17番目というなかなかの上位に表示される。
閲覧回数も多い。
脱退理由について考察した記事は他になさそうだから、つまりは人間椅子を脱退したマスヒロを思い、検索するファンが多かったということの証左であろう。
2022.6.22 Freakz
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